カリン Chinese Quince

実もの盆栽
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<カリン盆栽の特徴>

カリン,かりん,花梨
(英名:Chinese Quince) 

黒っぽく美しい幹肌と細かな枝打ち、小さな葉と、盆栽として非常に見どころの多い樹種です。

大きな実がなり、じっくり黄色に色づき香りを漂わせます。

熟すとぽろっと実を落とすこともあるので、取り扱いには充分注意が必要ですが、落ちた実はそのままもう一度枝に挿すと再び鑑賞できます。

実を確実に楽しみたいなら、一才カリンがおすすめです。ただし、カリンの実は生食できません。実を利用するのなら、果実酒にすればよいでしょう。

カリンの見どころは実だけではありません。幹太りが早いため、針金の食い込みや水切れに注意しましょう。

花の特徴

カリンの盆栽は、春に咲く美しい花が特徴です。ピンク色がかった白い花は、枝先に1〜2輪ずつ咲き、非常に優雅な印象を与えます。花は桜に似た形をしており、花期は比較的短いですが、その美しさから春の風物詩として楽しむことができます。

果実の特徴

カリンのもう一つの大きな魅力は、秋にできる大きな黄色い果実です。果実は硬くて香りが強く、観賞用としても非常に魅力的です。盆栽として栽培する場合も、小さな木に対して大きな果実が実るため、そのコントラストが美しいです。

樹形と幹の風合い

カリンの幹は比較的太くなりやすく、樹齢が増すにつれてゴツゴツした風合いを見せます。幹の曲線や分岐も自然な形で、非常に立体感のある樹形を作り出せます。葉は光沢のある濃い緑色で、卵形の形状をしています。春から夏にかけての新芽は鮮やかな緑色をしており、これもまた季節ごとの変化を楽しむ要素となります。

季節の変化

カリン盆栽は四季の移り変わりを強く感じさせる盆栽です。春には花が咲き、夏は青々とした葉が生い茂り、秋には実がなります。さらに冬には葉が落ち、幹の形が際立つため、年間を通じてさまざまな表情を楽しむことができます。特に果実がなる秋は、黄色く色づいた果実が一つのハイライトとなり、非常に華やかです。

育てやすさ

カリンは比較的育てやすい樹種で、耐寒性もあり、屋外での栽培が基本です。丈夫で、多少の乾燥にも耐えるため、初心者でも育てやすい盆栽です。しかし、果実をつけるためには適切な肥料や剪定が必要で、特に果実を楽しみたい場合は、栄養管理に注意を払う必要があります。

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カリン盆栽 管理>

日当たりと置き場所

カリンは日光を好む植物なので、十分な日光を浴びられる場所に置くことが重要です。特に春から秋にかけての成長期には、1日中日当たりの良い場所で育てるのが理想的です。日光が不足すると、花付きや果実の成長に影響が出ることがあります。

水やり

カリンは水を好む性質がありますが、根が過湿になると根腐れの原因になるため、適度な水やりが大切です。土が乾いたらしっかりと水を与えるのが基本です。特に成長期(春から秋)には水分が必要ですが、水はけが良い土を使用し、余分な水が鉢に溜まらないようにしましょう。

冬の休眠期には水やりの頻度を減らし、土が完全に乾燥しない程度に控えめに与えるようにします。

花芽がついてから結実までの2ヶ月間に水切れをすると、実が大きくなりません。
特に夏は水切れさせないように気をつけます。

肥料

カリンの盆栽は花や果実を楽しむため、肥料が非常に重要です。特に春と秋にかけて、緩効性の有機肥料や液体肥料を定期的に与えるとよいでしょう。春には新芽や花の成長を促し、秋には果実の成熟を助けるため、肥料をバランスよく与えます。窒素・リン・カリウムのバランスが取れた肥料を使用すると効果的です。特に結実後から十月までリン酸、カリ分を含んだ玉肥を与えます。

果実が成熟した後は、栄養を蓄えるために、肥料を控えめにして樹木を休ませます。冬の間は肥料を与えないようにします。

植え替え

カリンの盆栽は、根の生育が旺盛なので毎年か2年に一度、9月に基本用土で植え替えます。植え替えの時期は、春先の芽が動き出す前が最適です。鉢の中で根が詰まりすぎると、栄養が不足し、花や果実がつきにくくなるため、古い土を新しい土に入れ替え、根を整理します。

根が長く伸びすぎた部分や傷んだ部分を剪定し、根を整えることで、栄養の吸収が良くなり、健康な成長が促されます。

根の整理は大胆に。春にもできますが、芽出しが早いので二月下旬から遅くとも三月上旬までに実施します。

冬越し

寒さには強い樹です。

病害虫

カリンは比較的病気に強いですが、アブラムシカイガラムシハダニなどの害虫が発生することがあります。定期的に葉や枝を観察し、害虫が見つかった場合は早期に対応します。必要に応じて殺虫剤を使用し、風通しを良くすることで病害虫の発生を抑えることができます。また、過湿による根腐れも注意すべき点です。

また実を食害するシンクイムシの発生に気をつけ、よく観察して見つけ次第取り除きます。

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<カリン盆栽 手入れのコツ> 

剪定

カリン盆栽の剪定は、樹形を整えると同時に、健康な成長を促すために必要です。冬の休眠期に不要な枝や込み合った枝を剪定し、風通しを良くします。また、春の新芽が出る前に古い枝や傷んだ部分をカットすると、健康な新芽が出やすくなります。

果実が実った後は、枝が果実の重みで垂れることがあるため、早めに剪定して枝の負担を軽減します。また、剪定によって花芽を残すことも重要で、花が咲く枝を無駄に切り落とさないように注意が必要です。

枝先の先端に実が付くので、短枝をつくる剪定をします。何もしないと枝が上にばかり伸びていきます。

若木のうちは胴吹き芽も多くどんどん枝を出していきますが、これ以上太くしたくないときは、先端の芽を摘んで勢いを止めます。

春と秋の植え替え適期には2~3芽に切り詰めが可能です。

芽摘み

古木になると芽吹きも収まってきますから、不要な部分の芽が数センチになったところで早めに摘み取り、養分が実に回るようにします。

針金かけ

カリンの盆栽は、針金を使って形を整えることもできますが、枝が比較的柔らかく、自然な樹形を楽しむことが多いため、針金かけは控えめに行うことが多いです。必要に応じて、柔らかい新枝に軽く針金を巻いて形を整える程度で十分です。針金は成長に伴って枝に食い込むことがあるため、定期的に外して確認します。

柔らかい新枝に六月頃アルミ線をかけ、勢い良く上に伸びているのを下げてやります。こうすると枝の付け根付近から短枝が出て、実が付くようになります。

交配

一才カリンは自家不親和性なので、開花期にもう1本、一才カリンか唐カリンをそばに置いて受粉させます。

繁殖

実付きの盆栽はほとんどが唐カリンの接ぎ木苗で、実生が可能です。

果肉を取ってとりまきすると、翌年には発芽し、ぐんぐん生長して50センチ以上も伸びます。ただし、開花、結実までには時間がかかります。

このほか、挿し木、取り木もできます。 

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<カリン盆栽 月毎の手入れ>

【一月】

軒下や棚下で越冬できます。芽出しが早いので水管理に注意しましょう。

【二月】

水切れに注意します。二月下旬頃から植え替えが可能ですが、作業後は保護を。

【三月】

引き続き水切れに注意します。秋に実を楽しみたい場合は開花期の施肥を控えましょう。

【四月】

伸び出す新芽を四月下旬頃から1~2節残しで芽摘み。枝数が増えると自然に芽止まりする枝が増える。

【五月】

新梢の芽押さえと不要芽の剪定で枝作りが可能です。実姿を楽しむなら水切れ厳禁。不要な実も摘果しましょう。

【六月】

施肥は芽が固まったのを確認してから開始してください。針金の食い込みに注意。

【七月】

実がとまれば施肥を再開します。不要な実は摘果しておきましょう。乾きも激しくなりますので、水切れには充分注意ください。

【八月】

徒長枝が出やすいため、不要な枝は早めの処置を。実は風にあおられやすいため、風が避けられる環境下で管理しましょう。

【九月】

水管理、肥培管理の徹底を。実姿鑑賞予定の樹は十月中旬頃に実を外し傷つかないよう冷蔵庫で保管します。

【十月】

結実した樹の水切れは厳禁です。大きく育った実は十月中に採集し、冷蔵庫で保管します。

【十一月】

落葉後に剪定すると切断面から水を吹く場合があるため、落葉前に全葉刈りし、その後、剪定で枝先を整えます。 

【十二月】

耐寒性があるので棚下や軒下での管理で越冬できますが、凍結には要注意です。

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カリン盆栽 写真ギャラリー

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