柿 Japanese persimmon

実もの盆栽
スポンサーリンク

<柿盆栽,老鴉柿盆栽の特徴>

柿,ローヤ柿,老鴉柿
(英名:Japanese persimmon,chinese persimmon,kaki)

 個体変異が大きな樹なので同じロウヤガキといっても、実の形や色は丸いのから細長くとがったもの、赤に近い橙色から黄色までいろいろです。

雌雄異株なので開花時は雄木の花と交配させることが必要です。
虫が飛来しないときは人工授粉をします。

実が一個ずつ色づくので、一本の木に多彩な実が付くことになります。

なお、小さな柿では日本原産の豆柿(まめがき)もありますが、ロウヤガキより葉や実が大きく、盆栽ではあまり実つきがよくありません。

美しい果実

柿盆栽の最大の特徴は、秋に実る鮮やかなオレンジ色の果実です。実が熟すと、見た目に非常に美しく、特に葉が落ちた後に実だけが残る姿は風情があります。柿の実は観賞用であることが多く、果実を楽しむために育てることが主な目的です。

  • 実の色: 秋に熟すと鮮やかなオレンジ色や朱色になり、非常に目を引きます。大きな柿の実が小さな盆栽の木に成る姿は、盆栽の美学において特別な魅力があります。
  • 観賞期間: 柿の実は、熟してからもしばらくの間木に残るため、秋から初冬にかけて長く観賞を楽しむことができます。

美しい葉の色の変化

柿盆栽の葉は、秋になると紅葉し、美しい赤や黄色に染まります。春から夏にかけては緑色の葉が茂り、秋には紅葉を楽しみ、最終的に葉が落ちた後は実が残るため、四季折々の変化を存分に楽しむことができます。

  • 春と夏の葉: 春には新しい葉が芽吹き、夏には深い緑色の葉が木全体を覆います。この時期には、実も成長し始めます。
  • 秋の紅葉: 秋には葉が美しく紅葉し、果実とともに楽しむことができるため、特に秋の景色を再現した盆栽としての価値が高いです。

コンパクトな樹形

柿盆栽は、コンパクトな樹形が特徴で、適切な剪定や針金掛けにより、美しい姿に仕立てることができます。柿の木は太い幹と力強い枝を持ち、自然に風格のある樹形を形成するため、盆栽としても非常に魅力的です。老爺柿や豆柿は盆栽として作りやすい品種です。

  • 直幹(ちょっかん): 幹がまっすぐに伸びるスタイルで、安定感があり、実の重さに耐えやすいです。
  • 模様木(もようぎ): 幹に自然な曲がりがあるスタイルで、動きのある樹形を楽しむことができます。

成長が早く管理しやすい

柿の木は比較的成長が早く、管理がしやすい樹種です。剪定や針金掛けによって、樹形を整えながら育てることができ、また果実を楽しむためにもしっかりと手入れを行うことが重要です。柿は強い生命力を持っており、初心者でも育てやすい盆栽です。

季節感を楽しむ盆栽

柿盆栽は、季節の移り変わりを強く感じさせる樹種です。特に秋に向けて葉が紅葉し、実が色づく過程は、自然の美しさをそのまま室内や庭で楽しむことができます。冬には葉が落ち、裸の枝と果実のコントラストが盆栽全体の風情を引き立てます。

  • 冬の姿: 冬になると葉がすべて落ち、果実だけが残る姿は、寂寥感がありつつも美しさを感じさせます。

剪定と手入れのしやすさ

柿は成長が早く、剪定や手入れがしやすい植物です。樹形を整えるためには定期的な剪定が必要で、果実をつけるためには花芽を残しつつ、不要な枝を剪定することが大切です。

  • 剪定: 冬の休眠期(2月〜3月頃)に剪定を行い、不要な枝を取り除いて風通しを良くします。また、夏場には過剰に伸びた新芽を摘むことで、バランスの取れた樹形を保つことができます。

自然の縮図としての美しさ

柿盆栽は、自然の景色を小さな鉢の中に再現する盆栽としての価値が高いです。実をつけた樹木が秋の風景を再現し、季節の移ろいを感じさせる独特の美しさがあります。特に秋の実が成る姿は、日本の自然美を象徴するものとして、多くの愛好家に親しまれています。

スポンサーリンク

<柿盆栽,老鴉柿盆栽 管理>

置き場所

柿盆栽は、日光を好むため、日当たりの良い場所で育てることが基本です。十分な日光を浴びることで、健康に育ち、実の付きも良くなります。

  • 春と秋: 成長期には、できるだけたくさん日光を浴びせます。日当たりの良い屋外に置くのが理想的です。
  • : 強い直射日光は葉焼けを起こす可能性があるため、半日陰や日陰に移動させるか、軽く遮光して強い日差しを避けます。また、風通しの良い場所に置くことも重要です。
  • : 冬場は耐寒性があるため、屋外で冬越しが可能ですが、寒冷地では冷風や霜から守るために風除けをするか、寒さの厳しい場所では室内に取り込むと良いです。

水やり

柿盆栽は、適度な湿度を好むため、土の状態を見ながら水やりを行います。特に乾燥しすぎには注意が必要です。

: 休眠期には水やりの頻度を少し減らしますが、完全に乾燥しないように適度に水を与えます。

春と秋: 成長期には、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。鉢の底から水が流れ出るまでしっかりと水をやりましょう。成長期には、たくさん水を吸うため、乾燥しないように気をつけます。

: 高温期には特に水分が不足しやすいので、朝と夕方の2回水やりを行うことをお勧めします。水切れを防ぐため、こまめに土の乾燥具合を確認しましょう。

表土が乾いたらたっぷり水やりをします。
いちばん注意したいのは夏の水切れ。落果の原因にもなります。

また、梅雨時期は雨が続くようなら根腐れしないよう、軒下などに移します。

冬の乾燥が続くときは、用土だけでなく、木全体にかけるようにして空中湿度を高めます。

肥料

柿盆栽は、春から秋にかけて肥料を与えることで、健康な成長と実付きが良くなります。

  • 春(3月〜5月): 新芽が出始める時期に、固形の有機肥料や液体肥料を与えます。肥料は2〜3週間ごとに与えるのが理想的です。
  • 夏(6月〜8月): 実が成長する時期にも、肥料を与えます。ただし、真夏の暑い時期には肥料を控えめにし、植物の負担を減らします。
  • 秋(9月〜10月): 実が成熟する頃にも、肥料を与えて栄養を補います。この時期に与える肥料は、実の色づきや甘みを助けます。
  • : 休眠期に入るので、肥料は与えません。

植え替えの元肥のあと、四月から玉肥を施します。
夏は薄い液肥を水やり代わりに与えます。

玉肥は結実をして小指大になったのを確認してから、つまり九月に入ってから月一回、春よりもやや多めの量を目安に施します。

元肥にはリン酸、カリ分の入ったものを使うか、骨粉を入れます。
多肥には強い方ですが、根が肥料負けしないよう、様子を見ながら施す事が大切です。

植え替え

柿盆栽は根が詰まりやすいため、毎年か1年おきを目安に、春の彼岸ごろ基本用土で植え替えます。植え替えをすることで、根の健康を保ち、土の通気性を良くします。
ここで植え付け角度を変えたりして、切り戻す事もできます。

方法: 植え替え時に鉢から木を取り出し、根を整理します。長く伸びた根や絡み合った根を軽く剪定し、新しい盆栽用土に植え替えます。柿は排水性の良い土が好まれるため、赤玉土や川砂を混ぜた土を使うと良いでしょう。

時期: 植え替えは春(3月〜4月)や秋(9月〜10月)が適しています。新芽が動き出す前か、実がついた後が理想です。

病害虫


柿盆栽は、アブラムシハダニカイガラムシなどの害虫が付きやすいです。特に梅雨時期や夏場は病害虫が発生しやすいため、定期的に葉や枝を観察し、早めに対処することが大切です。

病気の予防: 過湿になると根腐れや病気の原因になるため、排水性の良い土と適度な水やりを心がけましょう。

予防策: 剪定で風通しを良くし、病害虫の発生を抑えます。また、害虫を見つけたら、早めに駆除するか、必要に応じて市販の殺虫剤を使用します。

カイガラムシやカメムシ類が発生します。冬に冬期用の殺虫・殺菌剤を散布して防除するか、葉が出揃った六月の曇った日に殺虫剤を散布します。

冬の管理

柿は耐寒性が比較的高い樹種ですが、寒冷地では霜や冷風から守るため、冬の管理に注意が必要です。

  • 寒冷地での対策: 風が強い場所では風除けを設けたり、特に寒さが厳しい場合には室内に取り込んで管理すると良いです。
スポンサーリンク

<柿盆栽,老鴉柿盆栽 手入れのコツ>

交配

開花期の同じ雄木と雌木を用意し、近くにおいておきます。

開花前に殺虫剤をまいてしまうと、受粉虫が寄ってこないような場合や確実に受粉させたいときは、雄花の花弁を取っておしべを出し、雌花にくっつけていきます。

結実を確認してからは、水やりと施肥を怠らないようにして落果を防ぎます。

なお、交配が行われないと、実は落ちます。

摘果

柿盆栽が多くの実を付けすぎると、木に負担がかかるため、摘果(てっか)を行って、実の数を調整します。

  • 適切な時期: 実が付き始めた夏頃に摘果を行います。過剰な実を減らすことで、木が健康に育ち、残った実に十分な栄養が行き渡ります。
  • 方法: 一枝に1〜2個の実を残し、余分な実を取り除きます。これにより、残った実が大きく育ち、見栄えも良くなります。

実付きが多すぎると、盆栽のような限られた養分で育つ樹には負担が大きすぎるので、自然落果が起こります。

7~8月には自然落果も収まりますが、まだ多いときはたくさんの貧弱な実をつけさせるより、充実した数個を残すため、摘果をします。

また、年が明けて正月飾りを楽しんだら、できるだけ早く実を取って樹を休眠状態にします。

剪定

柿盆栽は定期的な剪定が必要で、形を整えながら健康に育てることができます。剪定の目的は、風通しを良くし、光を全体に行き渡らせることです。

  • 冬の剪定: 冬の休眠期(12月〜2月)に剪定を行います。不要な枝や混み合った枝、古くなった枝を切り落とし、枝のバランスを整えます。この剪定で、翌年の成長や実付きが良くなります。
  • 芽摘み(摘芽): 春に新芽が伸びすぎた場合、強い枝の成長を抑えるために新芽を摘むことが必要です。これにより、全体のバランスを保ちながら実の付きが良くなります。

充実した新枝の葉腋に開花します。

落葉後から樹姿を整える剪定を行い、新緑の前までに終わらせます。

流れに沿わない枝、曲のない枝などを切り詰めるのもこの時期なら大胆に行えます。

なお、室内で長く鑑賞していると、乾燥や光線不足で落葉が速くなってしまいます。

葉が早く落ちてしまうとそれだけ養分が作られない事になるので、屋外で管理してできるだけ葉を長く付けさせておきます。

結実がわかったところで、実の付かない徒長枝ははっきりしますから切り詰めていきます。

針金かけ

柿盆栽は、針金掛けによって樹形を整えることができます。枝や幹が若いうちに、針金を使って美しい形に仕立てます。

  • 時期: 6~7月、新枝は垂直に伸びるので針金をかけて曲付けしておきます。逆枝も針金で矯正すれば、少ない枝も大切に生かせます。
    枝が硬くなると針金がきかなくなるので、10cmくらいに伸びたらどんどんかけていきます。
    枝や幹に針金を巻いて、理想的な形に整えます。
  • 注意点: 柿の枝は比較的折れやすいので、針金を掛ける際には慎重に行います。また、枝に針金が食い込まないように定期的に確認し、枝が固定されたら針金を外します。

繁殖

 挿し木、根伏せ、実生ができます。枝がしゅっと伸びやすいので、曲の在る素材作りをしたいなら、植え替え時の根を切って根伏せにするのが簡単です。

翌春には芽吹くので、値上がりにしてもいいでしょう。

果実は食べられませんが、果肉を取って種子をよく洗い、ビニール袋などに密封して冷蔵庫に保存します。

翌春、暖かくなってきたらまきます。

スポンサーリンク

柿盆栽 写真ギャラリー

タイトルとURLをコピーしました