<梅もどき盆栽の特徴>
梅もどき,ウメモドキ
(英名:Japanese Winterberry)
実つきの良い木ですが、雄木と雌木の両方をそばに置かないと受粉せず、実がつきません。
古くなるほど枝打ちも細かくなり、風格が出ます。
九月から年明けまで色の変化を楽しめる実は、赤実のほか黄実、白実の品種もあり、雌木だけで結実する大納言、矮性種の小姓梅もどきも出回ります。
ウメモドキという名前に「梅」が入っていますが、梅とは異なる植物です。モチノキ科の一種で、特に秋から冬にかけて鮮やかな赤い実をつける姿が非常に印象的です。以下に、梅もどき盆栽の特徴を説明します。
赤い実が特徴的
梅もどきの最大の魅力は、秋から冬にかけてつける小さな赤い実です。これらの実は、葉が落ちた後も枝に残り、寒い季節に鮮やかな赤いアクセントを加えます。この実がつくためには、雄株と雌株が必要です。受粉のために両方の性別の木が近くにある必要があります。
葉と花
- 葉: 葉は楕円形で、やや光沢があり、秋には黄褐色に紅葉することもあります。落葉樹なので、秋には葉が落ち、冬は赤い実だけが残ることが多いです。
- 花: 春から初夏にかけて、葉のつけ根から白や淡緑色の小さな花が咲きます。花自体は目立ちませんが、秋に実を楽しむためには重要です。
樹形と枝ぶり
梅もどきは、自然な枝ぶりを楽しむことができる樹木で、整った樹形を作りやすいです。幹が細く、枝も柔らかいため、比較的簡単に剪定や針金掛けを行って形を整えることが可能です。木の成長も比較的早いので、樹形のコントロールがしやすい盆栽です。
季節感のある変化
梅もどき盆栽は四季の変化を楽しむことができるため、季節感を重視する愛好家に人気です。
- 春: 新芽が出て、花が咲き始めます。
- 夏: 青々とした葉が繁り、実が徐々に成長してきます。
- 秋: 葉が紅葉し、赤い実が目立ち始めます。
- 冬: 葉が落ち、赤い実が木に残り、冬の景色を引き立てます。
耐寒性と耐暑性
梅もどきは耐寒性に優れており、冬の寒さにも強いため、屋外での管理が可能です。また、暑さにも比較的強く、日本の気候に適しています。そのため、気候に対してあまり過敏にならずに育てられる丈夫な樹種です。
実の鑑賞
梅もどきの赤い実は、秋から冬にかけて美しい鑑賞ポイントとなります。実が付くためには、雌株と雄株の両方が必要であり、庭や周囲に雄株がない場合は、人工的に受粉させることも可能です。実は鳥に好まれるため、自然の中で育てると野鳥が実を食べに来ることもあります。
<梅もどき盆栽 管理>
置き場所
梅もどきは日当たりを好みますが、真夏の強い直射日光には注意が必要です。
冬: 耐寒性が強いので、屋外で冬越しできます。寒さに当たることで赤い実がより鮮やかに発色しますが、鉢が凍らないように注意します。
春〜秋: 日当たりの良い場所に置きます。日光をしっかりと受けることで、健康に育ち、実もつきやすくなります。
夏: 強い直射日光を避け、半日陰や明るい日陰に移動します。特に午後の日差しが強いときは葉焼けを防ぐために遮光が有効です。
水遣り
梅もどきは乾燥を嫌いますが、過湿にも弱いため、適切な水やりが重要です。
- 春〜秋: 土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。夏場は特に乾燥しやすいため、朝晩に水やりを行うことがあります。
- 冬: 冬は休眠期に入るため、水やりの頻度を減らします。土が完全に乾燥しない程度に水を与えますが、過湿は避けます。
水切れに注意しながら、適度に水を与えます。梅もどきは乾燥に弱いため、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えることが大切です。特に夏場は乾燥しやすいので注意しましょう。
水切れを起こすと夏に実つきが悪くなったり、秋に落果や翌年の花芽がつかなくなったりするので注意。
肥料
梅もどきは成長期に肥料を与えると良いですが、実をつけることを考慮して適量を守ることが大切です。
- 春〜夏: 有機肥料や緩効性化成肥料を使います。新芽が伸びる前の春と、夏の成長が活発になる時期に肥料を与えます。
- 秋: 実がついている場合、秋にも少量の肥料を与えて、実の成熟を助けます。
- 冬: 冬は成長が止まるため、肥料は不要です。
春と秋の成長期には肥料を与えることで、健康な成長と実の成りを促進します。有機肥料や緩効性肥料が適しています。
植え替え
- 植え替えの時期: 春(新芽が出る前)が最適です。土を半分程度落として、新しい用土に植え替えます。
- 用土: 水はけの良い用土が好まれます。赤玉土(小粒)や鹿沼土、腐葉土を混ぜた配合土が適しています。
根の生育が旺盛なので、できれば毎年三月に基本用土で植え替えます。
病害虫
特に鳥が好む木です。鳥除けネットを張るか、日当たりの良い部屋に移します。黒い点が出て落果するのは黒点病です。
秋の長雨や多肥が原因なので、被害枝は切り落として焼却し、薬剤で消毒してから雨を避けた場所に移します。
カイガラムシやアブラムシは冬に冬期用の殺虫剤・殺菌剤を散布します。
<梅もどき盆栽 手入れのコツ>
芽摘み
葉が5~6枚になったら、先端を摘んでは枝を出させ、細かい枝打ちにしていきます。
交配
梅もどきは雌雄異株の植物で、雄株と雌株が揃わないと実をつけることができません。実をつけるためには、雌株と雄株の両方が必要です。
- 人工受粉: 近くに雄株がない場合、人工的に受粉することも可能です。春に花が咲いた時に、雄株の花粉を雌株の花に付けて受粉させます。
- 雄株の管理: 雄株を別に育てたり、庭や近隣に雄株がある場合には、自然に受粉することもあります。
6月に雄木の花が黄色い花粉でいっぱいになるので、花を筆や綿棒などでさわって花粉を取り、雌木につく雌花の緑色のめしべにこすりつけます。
この人工授粉をすると、確実に結実します。
受粉が終わった花は花弁がそのまま落ちるのでわかります。
剪定
梅もどきは、剪定や整枝がしやすく、形を整えるのに向いています。以下のポイントに注意して剪定を行います。
- 春: 新芽が出る前に古い枝を剪定し、樹形を整えます。
- 秋: 実を楽しんだ後、冬に向けて不要な枝を軽く剪定します。実が残っている枝を剪定する場合は、観賞用に実を少し残すとよいでしょう。
花は短い新枝の葉腋につきます。
切り詰めには強いので、毎年剪定を繰り返して細かい枝をたくさん出させます。
落葉中ならいつでも切り詰められます。
ヒコバエが良く出ますが、枝を更新する以外は早めに切り取り、木を疲れさせないようにします。
針金掛け
梅もどきは枝が比較的柔らかいので、針金掛けで枝の形を整えることができます。枝が太くなると針金が食い込みやすいので、時々針金を確認して調整します。
- 春〜夏にかけて、枝の成長に合わせて針金を掛けると、希望の樹形を作りやすくなります。
摘果
実つきが多すぎるときは早めに数を制限し、木が疲れないようにします。
また、いつまでも鑑賞していると、翌年にはぐっと生長が悪化しますから、正月の鑑賞が終わったら、早めに摘み取ります。
繁殖
雌木を増やす確実な方法は、結実した枝を選んで挿し木することです。
挿し木は凍らなければいつでもできるほど、活着の良い木です。
とりまきで実生もできますが、4年ぐらいまで雌雄はわかりません。
冬の管理
梅もどきは寒さに強いため、冬の間は外で育てることが可能です。しかし、鉢が凍結すると根がダメージを受けるので、以下の点に注意します。
- 鉢の保護: 鉢が直接冷たい風にさらされないように、風の当たらない場所に移動したり、地面に置くことで凍結を防ぎます。
- 水やり: 冬の間は水やりを控えめにしますが、土が完全に乾燥しないように適度に水を与えます。
<梅もどき盆栽 月毎の手入れ>
【一月】
鑑賞後、実は早めに摘果します。保護を前提に軽めの剪定が可能です。
【二月】
保護を前提に軽めの剪定が可能です。落果後の剪定は芽動き前までに済ませます。
【三月】
植え替える樹は芽動きに合わせて。消毒を行い、四月頃から少しずつ施肥を開始します。
【四月】
五月上旬頃、新芽が長く伸びた段階で1~2節残して芽つみ。自然に芽止まりする枝はそのまま。
【五月】
5~6月に開花期を迎えるので、結実を望む樹は雄木を寄せて交配、実が固まるまでは肥料を取り除きます。
【六月】
養成樹は芽が固まれば芽押さえをしましょう。針金の食い込みには注意してください。
【七月】
枝作りに専念する場合は七月上旬頃まで葉刈りが可能です。実数の調節もこの時期に。
【八月】
実を確認して徒長枝を切り詰めます。不要なヤゴ芽は早めに処理しましょう。樹作り優先なら剪定・葉刈りも可能です。
【九月】
この秋に鑑賞を控えている樹は実を確認し徒長枝を剪定します。鳥害にも注意しましょう。
【十月】
実の位置を確認して徒長枝を切り詰めます。水切れ・鳥による食害に注意しましょう。
【十一月】
水切れ・鳥の食害に警戒し鑑賞に備えます。なお、鑑賞後は早めに実を取り除き樹の負担を軽減しましょう。
【十二月】
早めに実を取り除き、霜や寒風から保護しましょう。